胃腸の病気

　私たちのなかには腹痛を経験しない人はまずいないであろう。とくに日本人には胃腸病者が多いという。

　これは日本人の食生活によるものか、また、現代の複雑化した社会生活からうまれる精神不安、ストレスのなせる業か、いずれにしても、現代の生活内容が胃腸病の発生にとって重大な影響を及ぼしていることは間違いないところである。

　人里はなれた山にこもり、他からのあらゆる精神的、肉体的刺激から遠ざかり、消化の良い菜食を主とし長生きする仙人のような生活は胃腸にとって最も理想的な環境であろう。

　毎日わずらわしい仕事、騒音に追い回され、したがって時間的にも内容的にも全く不規則な食事を摂取し、精神不安、ストレスから抜け出すために酒、タバコなどもつい乱用しがちになる現代の都会生活は、胃腸の機能にとっては最も悪い環境といわなければならない。

　このような悪条件のもとで病気が助長され、いったん発病したらなかなかなおらない病気や、環境によって非常に左右される病気がいろいろあるが、消化器病もけっして例外ではない。

　生活環境が欧米なみに近づいた近年、発生率が増加した胃腸病、また以前から少なくなかった病気についても、その各種自覚症状がなかなか改善しないで悩む人が増えてきている現象は、日常しばしば私たちが経験するところである。
　

早期発見、早期治療。病気には個人差があり、治療法も人によって異なります。